StoryHouse magazine storylesson > mailmag

ストーリーのスケールの大きさ



■作品のスケールが大きくしたい、と考える人は多いですが、 その内容が「大きなスケール」に合っているかどうかは、また 別の問題です。

内容とバランスをとりながら、作品のスケールを考える必要が あります。 コンパクトで高密度な作品もありますから、単にエピソードを 増やしてもスケールをアップさせたことにはなりません。 むしろ展開が間延びしたように見られることもでてきます。

コンパクトで高密度な作品は、ある意味ではとても「読みにくい」 ところがあります。 さっと読んだだけでは、その作品世界に入りきれないような独特の 部分があって、読み慣れていない人を押し戻すような形になります。

エピソードを増やして、平面的に伸ばしたほうが、読みやすくなる ともいえますが、その場合は、すぐに読み捨てにされる可能性があります。 手元においておきたい、というふうにはならないんですね。

・高密度で、
・手元においておきたくなってしまう
ような本は、
・「読み慣れていない人を押し戻す」
性質をもっている、と思ったほうがいいかもしれません。

この立場にたってみると、
・安易で
・平面的な描写
をしなくてすむようになります。

これは意外と重要なことですね。 読者にこれは伝わらないかもしれない、と必要以上に考えてしまうと 密度の低い文章をつくってしまいそうになります。 そういう文章を書いても、実は読者の方ががっかりする可能性の方が 高いんです。

作者はそういう変な気遣いをやめて、自分のつくった世界観を 最後まで書き上げることに集中した方が、いい結果が出ます。 そのためには、「読み慣れていない人を押し戻す」くらいの 覚悟を決めていた方が、ちょうどいいでしょう。 これは、内容の密度を「固定する」ことにつながります。

作者がこの「取り決め」を忘れない限り、内容が低下することはないでしょう。 ここで、ようやくスケールの話になります。 密度が「固定」されていますから、短編で終わることも十分にあります。 それを引きのばすことが、無意味なことはわかっているでしょう。

では、その密度を維持したまま、どの程度のスケールになるか判断するには どうしたらいいでしょう?

文庫本10冊分のストーリーと50冊分のストーリーでは、単に長さだけでは なく、質が異なります。 エンターテイメントを描くのが好きな人は、エピソードを考えることがうまい ですから、10冊分の話を50冊にしてしまうことがけっこうあります。 本人は、楽しんで書いているため、充実した内容だと思っているのですが、 質は明らかに低下しています。

登場人物が多くて、互いの関係がこみいってくると、話は自然に長くなりますが これも本来のストーリー展開とは「無関係」な可能性があります。 ストーリーを担っているのは主人公ですから、小説内で起こるエピソードは 常に主人公の成長や悩みとリンクしている必要があります。

このリンクの切れたところで動いているエピソードは、話を冗長にしている 危険性が高いですね。 ですから、まず、そういうエピソードを削るのが、一番いいでしょう。 そうすれば、どこで話の展開が主人公から離れてしまったのか判断できる と思います。

長い話を書いてしまったときも、この視点からチェックしていけば、自然に 本来のスケールが見えてくるでしょう。 結局、ストーリーのスケールの大きさは、主人公のスケールの大きさに比例 しています。 他の人物がたくさん出てきても、それは話のスケールや長さには 関係ありません。 ここを間違えると、冗長なものができあがってしまいます。

主人公を常に意識して、その緊張感を保つことが、作品のバランスを維持する ことにつながります。 ですから、スケールが大きくて、バランスのとれた作品を書こうと思ったら、 まずスケールの大きな主人公を発見し、その主人公をストーリーの中心に おくことが大切です。

ここは主人公の定位置です。 ストーリー展開の誘惑に負けて、かんたんに動かしてはいけません。

あなたの作品の主人公は、これらの条件を満たしていますか?



Copyright (C) StoryHouse All Rights Reserved.