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小説のタイトルについて



■さて、今日はタイトルについてですが、小説のタイトルも最近は キャッチコピーみたいな感じになってきたようです。

昔の小説は『山の音』『檸檬』『異邦人』というふうに、名詞だけの シンプルなタイトルがついていました。

今は『蹴りたい背中』『世界の中心で、愛をさけぶ』 『号泣する準備はできていた』という具合に心理的な要素が 加わったタイトルになっています。

もちろん、名詞だけのものもありますが、そこには昔あったような 「重さ」がありません。 『センセイの鞄』のように「軽くする工夫」をしています。 昔だったら、単に『鞄』としていたでしょう。

でも、いまは足早に書棚の前を通り過ぎる人を『鞄』では引きとめる ことができません。 おそらく、「カバン」か「クツ」かはっきりしないうちに過ぎ去るでしょう。 ここは「センセイ」でタイトルを覚えてもらわなくてはなりません。 こう考えると、本当にキャッチコピーそのものですね。

この傾向をどう思いますか?

いいか悪いかは別にして、真似することだけはやめた方がいいでしょう。 必ず自爆します。 小説のタイトルをつけるときに重要なのは
・そのタイトルを見た人が、想像を広げることができる
・どこか引っかかる
ものにすることです。

とくに、「想像を広げられるものにする」ことは、作品の奥行きを暗示する ことと同じですから、この線で考えることは納得がいくと思います。 「引っかかる」というのは、「気になる」と言い換えてもいいですが、 これは人によって違うので、必要以上にこだわらないほうがいいでしょう。 作者の思い込みでタイトルをつくっても、一般の人にそれが伝わらないこと も十分にあります。

でも、もし、この2つを満たすタイトルが見つかれば、かなり強力になる はずです。 安易にキャッチコピーを志向して、言葉をいじりまわすより、作品内容に 沿ったものができます。

では、読者を煽るようなタイトルはどうでしょうか?
これはビジネス系でよく使っていますが、完全にマーケティング手法による ものです。 読者は正直なところうんざりしているでしょう。 「ちょっと○○○するだけで、こんなに儲かる」系のタイトルは 著者自身を含めて、誰も本気で信じていないのではないでしょうか。

この種のものはノウハウ本ですから、読んだら実践しないと意味がないのですが 1回読んでおしまいというパターンが90%以上です。 実践して、儲かるまで継続する人は、1%いればよい方だと思います。 少しでも労力を惜しむと、「1歩進んで10歩下がる」ような状態を 繰り返すことになるでしょう。

それに、著者自身は1回数万〜数十万円もするセミナーに出たり、洋書も 含めて本を読み漁っています。 そういう時間コストは「ちょっと○○○するだけ」の中に含まれていません。 そのことを考慮に入れると、著者も含めて「誰も信じていない」タイトルだと 判断するしかないでしょう。 マーケティングでタイトルをつけると、一瞬、大量の注目を浴びますが、 せいぜい発売2週間程度で、その後は退いていきます。

もっとも、内容がよければまた盛り返していきますが、タイトルが 目障りになる可能性が高いです。 著者自身が本当に信じていることをタイトルにするのが、一番いいのです。 そうすれば、内容に対する信頼感も生まれて、何回も読み返されるでしょう。

ですから、小説の場合は、こういうタイトルのつけ方は、まったく向いて いません。 真似どころか、一歩も近づかないほうがよいでしょう。

そして、もう1つ。 タイトルはきれいにまとめる必要はないのです。
・作者自身がその本の内容を信じていることを、読者に伝える役割を もっています。

前にあげた2つの要素に加えて、このことを考慮してタイトルを考えれば、 内容的にも、アピール面からも、よいタイトルをつけられる可能性が アップすると思います。



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