心理描写をカットすることで見えてくるもの
■小説といえば心理描写が重要、ということになっていますが…… 本当でしょうか?
まあ、嘘ではないですが、初心者のうちはこれが意外とやっかいです。 それまで、主人公のアクションを書いてうまくいっていたのに、心理を 書き出したら、急に説明調になってしまった、ということもよくあります。
それから、視点を三人称にしたら、他人の考えていることまで見通して 書いてしまった、というのもよくあります。
これが作者の側からみた心理描写の特徴かもしれません。 では、初心者はここをどうやって通り抜ければいいんでしょうか?
思い切った方法としては、心理描写はカットして、 アクションと会話だけで書くというのもあります。 この方法をとると、作品の展開が早くなります。
主人公が悩んで立ち止まることがなくなります。 悩んでいても、常に行動したり会話をしますから、作品の印象も てきぱきしたものになるでしょう。 初心者にとっては、悪くない選択です。
それでも、やはり心理描写は必要だという場合は……
せめて視点に気をつけて、他人の頭の中を描写しないようにする
ことが大切です。
本当は、もっと効果のあることを書きたいのですが、
心理描写をすると、すぐに行き止まりになるような
気がします。
日本文学の流れを受けるからでしょうか?
無力な状況に悩む主人公が、すぐにできてしまいます。
これでは21世紀に小説を書いている新鮮味がないですね。
前回まで考えてきたのは、読者の想像力にもっと頼ってもいいんだ ということでした。 このへんが突破口になるかもしれません。
現在の時代状況は「行動すること」を重視する流れにあるので、 小説もこの影響を受けています。 心理をカットして、アクションと会話で成り立つ小説は、 今の時代状況を反映しているわけです。
主人公がひとりで悩んでいても、社会が複雑すぎて、ほとんど意味が なくなってきているのでしょう。
やはり、
・主人公の「個」の部分に焦点をあてながら
・行動中心の描写をして
・他人との関わりの中から
・新しい展開を導き出す
というのが書きやすいと思います。
心理描写がダメになったというより、個人の心理の範囲で解釈できる程度の 単純な社会ではなくなった、というのが正解に近いかもしれません。 重要な転換期であることは、確かですね。