内容密度を高める
■密度の濃い作品をかきたいと思っても、なかなか実行するのは 難しいですね。 まず、自分のかいたものが本当に密度が濃いかどうか、よくわからない という点がやっかいです。
かいているときは夢中なので、密度が高くなっているはず、と思って しまうでしょう。 読み返しても、客観的に見ることができるとは限りません。 ちなみに、友達に読んでもらって、 「密度濃いかな? それとも足りない?」 とか尋ねても、その友達は困惑するだけです。
もちろん、密度が濃いかどうかは、主観によって違ってきます。
それを測定することに意味があるか?
これを考え出すと、キリがありません。
そして、もし統計的データにしたがって分析しても、 今度は「作品にどうやって生かすか」という問題が 出てきます。
それでは、やはりこの観点から切り込んで、作品を充実させることは 無理なんでしょうか?
実は、作者のほうにちょっとした問題があります。 それは、密度の濃い設定や人物関係を導入しても、それを表現できる力が あるかどうか迷ってしまい、たいていは「自分にはできない」という結論を 自分で出してしまうからです。
まず、いまの文章力や表現力を不問にする。 これがポイントですね。 作者が文章力の問題にとらわれていると、少しも前進できません。
密度を濃くするために、必要なことは……
・エピソードをできるだけ詰め込む
・それは、複数の人物間で重なっているほうがよい
・1つの描写に、複数の意味をもたせる
この3つです。
文章力よりも、エピソードや描写のしかたに焦点をあててください。 一点に焦点を合わせれば、突破できる可能性が高まります。 要は、エピソードの力で人物を接近させ、複数の視点を導入することです。
小説は、一人称で書いていると、どうしても直線的に進みがちですが、 この路線で密度を濃くしようとすると、主人公が深く悩み、話が重く なってしまいます。 でも、話が重いことと、密度が濃いことは違います。
主人公が深く悩んでいて、ますます孤立化が進むことになると、 新しい展開がストップします。 これでは、かえって密度が低くなってしまうのではないでしょうか。
初心者は、たくさんの人物を書きわけることができないため、 一人称を使いがちですが、そこを突破しないと、こういう本質的な ところで文章力をのばす機会を失ってしまいます。
単に、文章がうまいというより、内容密度の濃さが漂ってくるような 文章が書けるようになりたいのですから、ぜひ、この本質的なことに 焦点を合わせてください。 焦点さえ合っていれば、上達するのは時間の問題です。
逆に、焦点がずれていれば、本質的なことに近づくこともできずに 終わってしまいます。 結果の差が大きすぎますよね。
自分の作品が本当に密度が濃いか、考えることは、 本質的なことにアプローチするチャンスです。 積極的に、このチャンスをつかみ、利用するくらいのほうが いいですね。
きっと、いままで見えなかったビジョンも、視界に入ってくる ようになるでしょう。そうすれば、手が出なかったような描写も、 自然にできるようになります。