情報編集に心地よい状態
■ふつう、小説家が作品を書いて、一般の読者がそれを読む場合、 それぞれの立場が固定されています。
もちろん、小説家はたくさん本を読みますから、同時に読者でも あるわけですが、一般の読者が自分で小説を書くことは、まずない でしょう。
でも、情報編集の視点からみると、このように立場を固定することは まったくメリットがありません。 情報は流通しながら、常に変化し、新しいものを生みだし続ける必要が あります。
一般の読者が「小説を読むだけ」という状態は、情報の流れを止めてしまいます。
前回、言及したようなコミュニティができた場合は、1人の人間の中に 小説家と読者が共存しているため、情報編集の面では非常にいいのです。
その人にとっても、読むと同時に書くことで、理解を深めることができます。 理解の深さを評価するのは、個人の感覚によりますが、気がつかないだけで 意外と多くのことを理解しているのです。
たいてい、人間の脳はしばらくすると読んだことを忘れてしまいます。 脳に残るのは、自分でその考えを話したり、文章にかいたりしたことです。 これは、とても重要なことですね。
1人の人間の中に小説家と読者がいて、瞬時に切り替えることができれば、 この脳のしくみを利用できる上に、情報に対する感度もよくなります。 慣れてくると、今まで考えもつかなかったアイデアが浮かんでくるでしょう。 それは、より深く理解しているからです。
この状態を維持していると、やがてインプットとアウトプットのバランスが とれるようになります。 情報編集的には、とても心地よい状態です。 こうしたことは、小説家と読者の位置が固定したままでは起こりません。
情報が過多になると、それに振りまわされるようになりがちですが、 取り組み方によって、このようにメリットも同時に出てきます。 ふつうは、新しい現象が起きると、それに付属している 「便利なこと」「困ったこと」に注目が集まります。 そして、「便利なこと」には慣れてしまい、論調は「困ったこと」に 集中します。
でも、本当にここで大切なのは、
・自分で実践して
・能力を高め、
・その結果を得る
ことです。
そうしないと、受け身の思考になり、情報編集から遠く離れてしまいます。 実は、小説やマンガをかくことを社会的な流れの中で考えると、 このようなことが見えてきます。
おそらく、作家本人が考えているよりも、重要なポジションにいるはずです。 でも、それに気がつかないんですね。 気がつくと、いろいろなプランニングができるのですが。
実践している最中にも、いろいろ新しい発見をするでしょう。 それが、また新しい展開につながていきます。