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「個」の上に成り立つもの



■作家になるというのは、1つの目標としてとらえる人が多いですが、 本当は、なろうと思えば誰でもなれるんです。 それも「いま、すぐに」なれます。 逆にいうと、「いま、すぐに」なれない人は、いつまでたっても なれません。

べつに極論をいっているのではないんです。 そういう意識をもつことができるか、という問題なんです。 立場だけ「作家」になっても、この「作家の意識」に変わっていないと 活動ができないし、後が続きません。

文学賞をとっている作家も、小学校の頃から小説を書いていたりします。 文章は稚拙でも、その頃から常に「作家の意識」が活性化していたわけ ですね。 賞をとってデビューしたのは、その結果です。

この意識を持てるかどうかは、人によって違ってきます。 たとえば、一般論を多用する人は、作家の意識をもちにくいですね。 一般論でまとめてしまうと、「よくわかる」んですが、そこでストップする ことが多くなります。 その先には、一般論を越えた「個」の感覚があります。 作家の意識は、「個」の感覚を重視します。

ですから、一般論をわざわざ特殊な「個」の感覚に変換するような人の ほうが、作家に向いています。

作品は、「個」の上に成り立ちます。 作品を読んだ読者が、そこに普遍性を見つけるかもしれませんが、 それは読者の「読み方」が導き出したものです。

作家は、そこにどんなことが書かれているか、読者が何を読みとるか、 はっきりいって、よくわかっていません。 小説は、「よくわからないもの」をつかまえるのが、1つの役割です。 「つかまえる」だけで精一杯。 何が書いてあるか把握する、そこから何を読み取るか予測する、という 余裕はまったくありません。

こういうことが、感覚的に受け入れられない人も、作家には向いて いないでしょう。 頭の優秀さは関係ありません。 「よくわからないもの」をとらえようと、ひたすら持続することが 必要なんです。

あなたは、こういうことを持続できますか?
頭で考えていると、持続できないと思うかもしれませんが、 実際に書いてみると、おもしろく感じる可能性もあります。 小説に興味のあれば、ちょっと試してみるつもりで やってみる価値はあると思います。

本当に作家になって、それを続けていくには、作品を書きながら 「常に発見をしていく」ことが必要です。 書きながら、何かを発見する。 これがあるから、作家は毎日、2時間くらい机の前に座っているわけです。

ひらめいた瞬間、発見した瞬間を「天使と出会った」という人もいます。 たしかに、それだけの価値と新鮮さがあります。 「天使」と聞いて、
非現実的→無意味だ
と連想する人も、作家には向いていません。「天使」は比喩です。 「新しい発見」には、こういう単語をそのまま受け入れる「素直さ」と 「謙虚さ」が必要です。

新しい発見のために持続する
発見したことを書き記すために、文体をつくる
素直な感覚で、観察を続ける
謙虚な視点をもつ
「よくわからないものをとらえる」ために、毎日2時間を使う

こういうことに、抵抗感がなければ、作家としてのスタートラインに 立つことができるでしょう。 これらをやってみることが楽しそうに思えれば、実際に走り出すことが できます。 でも、「できそうもないな」と思ってしまうと、そこですべてが終わります。

小説を書いてみたいと思っている人は多いのですが、実際に行動に移す人は、 20%くらいでしょう。 1つの小説を最後まで書き上げる人は、さらに少なくなります。

結局、作家としての行動を保てるかどうか。 これがすべてです。 小説を書いてみたいと思っている人は、ぜひ、行動してください。

資料を探してみる、というのも立派な行動です。 ノートを用意して、構想を書き出してみるというのも、すばらしいですね。 その行動は、確実に次の行動につながっていくでしょう。 そして、続けていくうちに「作家の意識」を手に入れることができます。



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