エピソードを有効に使う
■小説を書くとき、おもしろいことの1つが、小さなエピソードを いくつも作ってみることではないでしょうか。
キャラクター主体で、小さなエピソードを作っていると、それだけで 満足感も出てきます。 それはいいんですが、そうやって作った小さなエピソードをまとめて、 大きなストーリーの中で使おうとすると、思ったほどうまくいかない ことがでてきます。
とくに、主人公関連のエピソードは数が多くなるし、そのぶん、 ストーリー内で活用したいと思いますが、そういうものに限って 使えないという事態になりがちです。
これを有効に使うことは可能でしょうか?
エピソードの内容や質はバラバラかもしれませんが、ストーリーの流れの 中で、「焦点をどこにあてるか」が明確であれば、その焦点に合ったものを 使うことができます。
これは、あたりまえのことを言っているようにみえますが、「焦点をあてる」 というのは、意外とやっている人が少ないですね。 ふつうは、ストーリー展開を広げようとしますから、どちらかというと 「焦点がぼやけてしまう」可能性が高くなります。
「焦点をあてる」というのは、そのストーリーの切り口をはっきりさせる ということでもあるので、読者にとってもわかりやすい作品にまとまります。
使えるエピソードが限られてきますが、作者にとっては「正しい」エピソード を選びやすいというメリットもあります。 作品を初めてつくるときには、この「焦点をあてる」方法は、取り組みやすい と思います。
一方、ストーリーが長編になり、主人公と他の登場人物の関係が複雑になるほど、 必要なエピソードも増えてきます。
実際にはストーリーの流れにあわせて、手直しすることが必要ですが、 意外と使えるものも、たくさんあるでしょう。 そのエピソードを手直しする段階で、作品を形成する細かい要素を見直す ことになりますから、そうやって組み立てた小説は思ったより内容や文章が よくなったりします。 推敲の機会が、必然的に1つ増えているわけです。
さて、そのエピソードをストーリー内に導入するとき、どうやってつなげれば 効果的でしょうか?
キャラクター主体のエピソードは、その人物をクローズアップするためには 有効ですが、ストーリーの流れからみると、浮いてしまったりします。 あらかじめ作っておいたエピソードを使うときに問題になるのは、この点です。 そのまま使うと、読者からは「寄り道」をしているようにみえるかもしれません。 それでは、せっかくのエピソードが逆効果になってしまいます。
このエピソードをストーリーの中に自然に溶けこませるには、
・話の「転じる」部分で使う
とよいかもしれません。
この位置で使えば、多少浮いた感じがしても、「誤差」の範囲で収まるでしょう。 「転じる」部分では、状況を読者に伝える必要があるため、どうしても言葉が 多くなります。 そこを「説明」ではなく、エピソードをうまく交えながら書いてみる、という わけです。
単に、エピソードを加えるというよりも、有効な使い方ではないでしょうか?
余裕のある方は、ちょっと試してみると、何か得るところがあるでしょう。
ストーリーの構成を直線的に考えていたときには気づかなかったような、
豊かな内容が、そこに自然に入り込んでいるかもしれません。