主人公の抱えている問題を活用する
■小説を書き出したのはいいけど、やっぱり構成も考えておけば よかったなあ……と思うことはありませんか?
大きな構成を考えても、それを書ききれないかもしれません。 だからといって、手堅い構成にすると、何も意外性がない平凡な 読み物になってしまいます。
自分の書ける範囲でできるだけ大きな構成をつくり、 意外性も盛り込むにはどうしたらよいでしょう?
初心者ほど、こういう課題に取り組んだ方がいいですね。 無難にまとめることを覚える前に、能力をぎりぎりまで活用 する習慣が身につきます。
そこで、実際にどうやるかというと……
まず、主人公に頼ることを考えますが、今回に限ってはあまり役に
立ちません。
というのも、主人公はストーリーを推進していくことにかなり
エネルギーを使うからです。
主人公を駆使しようと入れ込みすぎると、ストーリーが一本道に
なってしまいます。
そこで、目先を変えて、脇役の人に活躍してもらいます。 ストーリー上で、主人公と脇役がぶつかる場面があると思いますが、 ここで注意するのは、ぶつけ方です。
ストーリーを進めるために都合がいいからといって、あまりお手軽にぶつけて いると、脇役の存在がどんどん軽くなってしまいます。 これではストーリーの厚みを削っているようなものです、
「こんなぶつけ方をしたら、ストーリーが重くなりすぎる」と 思うくらいの方が、ちょうどいいですね。
そういう箇所は、
・脇役の「背景」が濃縮されている
・それが主人公の抱えている問題と重なっている
可能性が高いからです。
ストーリー自体は「主人公のもの」ですが、そこで起きる事件は
外部からやってきます。
主人公はそれに関わるのですが、その関わり方が
・主人公自身の問題と必然的につながっている
とすれば、それは作品の展開が一気に広がる突破口になるわけです。
はっきりいって、主人公の抱えている問題と関係のないことで 関わっても、ストーリー上ではほとんど意味がありません。 主人公自身の問題と脇役の「背景」がうまく交わると、 それまで直線的にしか進まなかったストーリーが、 急にリアリティをもって動き始めます。
構成を複雑にすれば魅力的なストーリーができるとは 限りません。 そこには、読者を引きこむリアリティが必要なんです。 単に構成を複雑にするだけでは、 まるでパズルを読み解いているようで、 それぞれのエピソードが有機的に発展していかないので、 読者も飽きてきます。
作者としては、
・文章力
・構成力
よりも、「想像力」が重要です。
主人公の抱えている問題と、脇役の背景。 これを重ね合わせて、小説の中におさめるのは 作者独自の想像力です。
主人公の問題と脇役の背景を「かけ算」します。 作品のスケールは、想像力の大きさによって決まります。 足し算ではなく、かけ算なので、効果はかなり大きく現れます。 パズル的な構成の複雑さに寄り道せずに、想像力によって 関連づけることが必要です。
念のためにいっておくと、この関連づけは、 作者であるあなたが、自分の想像力で作り出すんです。 最初からあるものではないし、予定調和的に行うのでもありません。 関連づけが一見、奇異なものに見えても大丈夫です。 そういう独自性がなければ、この関連づけは機能しません。
作者であるあなたが見つけ出して、文字で書き記すことに 意味があるんです。 そのプロセスをきちんと踏むと、構成が自然にできあがって いきます。 それは計算だけで作った構成とは違って、ストーリーを有機的に 展開し、読者を感動させます。
初心者としては、挑戦しがいのある課題だと思います。 なんといっても、文章力や文学的表現に頼らなくても、 作品をまとめることができる、という自信がつくことが 大きいと思います。
文章力はあとから自然についてきます。 書きながら気にしていると、注意が散漫になって、作品の密度が 薄くなってしまいます。 そうなったら意味がありません。
いまの自分の能力よりも、少し高めだ、というくらいの 目的を掲げて、実行するように心がけていると、 集中力、注意力が格段に向上します。
さて、あなたは、そういう目的をいくつ掲げられますか?