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アニメの遺伝子



■たとえば、ファンタジーを書こうとしたとき、 神話学とか、魔術系の雑学、ヨーロッパの古典文学、 それから地理や風土なんかも知っておきたいですよね。

たしかに、こういう知識があれば、ストーリーを考える幅が 広くなるし、おもしろいものやオリジナルなものが書けそうな 気がしてきます。

そして、ストーリーを組み立てるテクニックと、こういう知識があれば…… と切実に考えているのは、キャラクター小説系の新人賞に応募しよう と考えている人たちでしょう。

実は、この分野、
タロットでストーリーラインをつくって 占星術と姓名判断で人物造形をする。

これだけでも小説の形になります。

ただ、キャラクターという形とストーリーラインという定型を 組み合わせようとしているので、何を書いても似たような話に なってしまうところが、この方法の限界です。

キャラクターの絵に惹かれるのは、かまわないんですが、 この「テキスト部分の限界」について、キャラクター小説の 好きな人は、どう思っているんでしょう?

息抜きや暇つぶしで読んでいる人は、それでもいいんですが、 これから「書く側」にまわろうという人は、このへんの問題を ちょっとだけでも考えたほうがいいような気がします。

とはいっても、これはけっこう微妙な領域ですよね。

マンガやアニメと連動しているので、少し位置をずらすと キャラクターがただの「挿絵」になってしまいます。 アニメとの連動をはずすわけにはいかないでしょう。

なんで、こんなことを気にしているかというと、 キャラクター小説と一部の読者が明らかに重なっている ミステリー系の作家は、
・キャラクター
・ストーリー
・知識
をブレンドして、作品にまとめるのがとてもうまいからです。

つまり、同じ読者が、「うまい小説」と「限界を抱えた小説」を 同じように楽しんでいるわけです。

この状態をキャラクターの「絵」が支えているとしたら……

やっぱり、キャラクター小説を書こうと思っている人も、 知識を吸収して、それをうまくストーリーの中にブレンドできる ようになったほうがいいですね。

小説として、読み応えがでてくる分、アニメにしにくい要素が入って きてしまいますが、これはもう仕方がないでしょう。

ある種の「歪み」を直して、小説としての可能性を探ったほうが これから伸びると思います。

それにしても、こんな微妙な位置にある「小説」は他にないですね。

ふつうの小説なら、主人公の行動に注目して、その内面を読み取る わけです。 作家の側に立てば、主人公の声にじっと耳を傾けて、その行動を より自然に描写しよう、ということになります。

ところが、キャラクター小説の場合はちがいます。

主人公の行動を観察しても、そこにはオリジナリティの芽はありません。 アニメ的な公式が、主人公の行動を決定します。 ふつうの小説の手法が使えないということです。

それなら、どうしたらいいのか。
何もできないのです。

小説的な描写をして、その内面を描き出そうとしても、 キャラクター小説の主人公はそれを受け入れません。

アニメの遺伝子をもっているのです。 そのため、小説的記述をしても、その細部は自動的に切り捨てられ、 アニメに特徴的なリズムの速い動きをしようとします。

見た目のわかりやすさとはうらはらに、まともに書こうとすると このような書きにくさを、本質的なところに抱えています。

知識をなんとか、うまくブレンドしようとしても、 それがアニメ的な公式によって、分離してしまい、 溶けこんでくれないのです。

意外かもしれませんが、小説として、最も書きにくい領域に なっています。



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